社会人からの物理と数学

趣味ではじめた物理や数学の内容を備忘録としてまとめていきます。

流体力学(前編)を読む はじめに

私は昔からなぜ飛行機が空を飛べるのか不思議でなりませんでした。ところが高校生だったある日テレビか何かで次のような説明を聞いてすっかり納得してしまったのです。

それは上だけが膨らんだ翼のまわりを空気が流れると、翼の前縁で別れた空気はその後端で出会うので、距離の長い翼上面を流れる空気は下面より速くなる(等時間通過説)。そして空気のような流体は流速が大きくなるとその圧力は低下する(ベルヌーイの定理)。よって翼上面の圧力が下面のそれよりも低下することで揚力を発生している。

実に簡潔明瞭でわかりやすかったため、私は長らくこの説を信じていました。その後大学でも流体力学を学ぶ機会がなく特に疑問も感じないまま社会人になっていました。ところが社会人になってしばらくしたある日、私はネットでとんでもない記事を発見してしまいました。「飛行機がなぜ飛ぶのか実はまだ分かっていない」そんなタイトルの記事が目に付いたのです。そんな馬鹿なと思いネット上を調べまくってみるとベルヌーイがなんだコアンダ効果がなんだ循環がなんだと様々な見解で溢れyahoo知恵袋でも意見が割れるなど、実はこの話は意外と奥深くまた単純ではないことに気付きました。

 

そして最初に行き着いたのがこのサイトでした。

 内容は要するに私が長らく信じていた等時間通過説は誤りであり、真実は翼のまわりに発生する循環であると言うのです。

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そして今度こそはちゃんと翼に揚力が発生する仕組みを理解したいと思い、購入したのがこのサイトでも紹介されていた今井功先生著「流体力学(前編)」でした。この本を購入したのはおよそ1年前の2017年春頃だったと記憶していますが、大学を卒業し早6年が経ち基本的な数学の知識や技術が欠落している中で読み進めるのは難航を極めました。特に複素関数論を軸に話が展開されていくためここの知識が曖昧だと理解は容易ではありません。正直に言うとわからないところは読み飛ばし、概要だけを追って雰囲気を掴むのがやっとでしたが、先のサイトで言われていた循環の理論であるとか極めて単純化された2次元の翼理論についての大枠を理解することはできました。しかしながらやはり数学的な無力さを感じた私は複素関数論について勉強をし直しました。そして一念発起して2度目の精読に取り掛かろうとしているのが2018年7月現在の状況です。

さて前置きが長くなりましたが、当ブログでは「流体力学(前編)」を読み進める中で私が疑問に感じたことや書き留めておきたいことなどを私個人の備忘録として記していきたいと考えています。数学や物理等の知識は素人同然ですので多分に誤りを含むと思われますがご容赦ください。

また最後になりますが、ネット上にはこの本で語られるような一般的な循環理論についても揚力に関する説明としては誤りだとする見解もあります。未だに様々な方が様々な立場で翼の揚力について激論を交わしているようですが、当ブログではこのテーマに関して何か結論を付けたり、特定の立場から主張をするといったことはいたしません。あくまでこの本を真摯に理解することを目標に進めていきたいと考えています。