流体力学(前編)を読む 第3回
・はじめに
ここでは私が疑問に感じた渦度と角速度の関係についてまとめておきます
・本題
流体には竜巻のような渦が存在し、これを表わす量として
\begin{align}
{\boldsymbol \omega}=\mathrm{rot}\ \boldsymbol{\mathcal{v}} \tag{3-1}
\end{align}
で定義される渦度と呼ばれる量が存在する。
流体の速度に回転を作用させるとなぜ渦を表わす量が得られるのかについては以下のページに詳しいので引用しておく。
さてここで、物体の回転運動を表わす式は物体の位置、速度、角速度を用いて
\begin{equation}
\boldsymbol{\mathcal{v}}=\boldsymbol{\Omega}\times \boldsymbol{r} \tag{3-2}
\end{equation}
で表わされる。今(3-2)式を(3-1)式に代入すると
\begin{align}
\boldsymbol{\omega}&=\mathrm{rot}\ (\boldsymbol{\Omega}\times \bf r) \\
\\
&=\mathrm{rot} \left(
\begin{array}{c}
\Omega_y z-\Omega_z y \\
\Omega_z x-\Omega_x z\\
\Omega_x y-\Omega_y x
\end{array}
\right) \\
\\
&=\left(
\begin{array}{c}
\displaystyle \frac{\partial}{\partial y}(\Omega_x y-\Omega_y x)-\frac{\partial}{\partial z}(\Omega_z x-\Omega_x z) \\
\displaystyle \frac{\partial}{\partial z}(\Omega_y z-\Omega_z y)-\frac{\partial}{\partial x}(\Omega_x y-\Omega_y x)\\
\displaystyle \frac{\partial}{\partial x}(\Omega_z x-\Omega_x z)-\frac{\partial}{\partial y}(\Omega_y z-\Omega_z y)
\end{array}
\right) \\
\\
ここで\boldsymbol{\Omega}は位置\boldsymbol{r}に関して定ベ&クトル(\boldsymbol{\Omega}の各成分が\boldsymbol{r}に関して定数)であるとすると\\
\\
&=\left(
\begin{array}{c}
2\Omega_x \\
2\Omega_y \\
2\Omega_z
\end{array}
\right)\\
\\
&=2\boldsymbol{\Omega}
\end{align}
を得る。すなわちまとめると渦度と角速度の間には
\begin{equation}
\boldsymbol{\omega}=2\boldsymbol{\Omega} \tag{3-3}
\end{equation}
という関係が存在する。
・まとめ
(3-3)式のような関係式を自分なりにあっさり導出してしまいましたが、疑問点も多少残りました。ひとつは、角速度といえば天体の公転運動や剛体の回転運動を思い浮かべますが、そこで一般的に受け入れられている(3-2)式を躊躇なく流体の場合にも受け入れて準用してしまった点。もうひとつは式中にも書いたように角速度が位置に関して定ベクトルであると仮定した点です。逆にこの2点を受け入れないと本書にも登場する(3-3)式を自力では導けませんでした。先に進むため深入りはしませんが、こういう仮定ないし事実を受け入れたということは記しておきたいと思います。